研究課題/領域番号 |
06454129
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 憲一郎 東京大学, 農学部, 教授 (50111480)
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研究分担者 |
松木 直章 東京大学, 農学部, 助手 (40251417)
稲葉 睦 東京大学, 農学部, 助教授 (00183179)
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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キーワード | バベシア感染症 / Babesia microti / Babesia rodhaini / 感染防御反応 / ヘルパーT細胞 / サイトカイン / Interleukin-12(IL-12) |
研究概要 |
1.Babesia microti(BM)、ならびにBabesia rodhaini(BR)感染初期の細胞性免疫応答におけるLyt2(CD8)+およびL3T4(CD4)+T細胞の役割を、モノクローナル抗体投与によりLyt2+あるいはL3T4+T細胞を枯渇させたマウスを用いて検討した。その結果、Lyt2+枯渇マウスはBMに対して抵抗性、BR感染に高感受性を呈したのに対し、L3T4+T細胞枯渇マウスはBMに高感受性、BRに耐性を示すなど、両原虫間で感染初期の免疫応答における宿主ヘルパーT細胞の挙動が異なることが示された。 2.そこで、L3T4+T細胞について感染初期のIFN-r mRNA、あるいはIL-4 mRNAの発現を検討したところ、BMではIFN-rが、一方BRではIL-4の発現がそれぞれ優位であった。すなわち、これら原虫の感染初期、BMではTh1が活性化する一方、BRではTh2が誘導されることが示唆された。また、抗Mac-1,抗la抗体を用いた検討から、マクロファージ、あるいはB細胞は両原虫によって引き起こされるT細胞応答に影響しないことが明らかとなった。 3.さらに、Th1とTh2それぞれの分化誘導に関与するサイトカイン、各々IL-12とIL-10の感染初期における動態をmRNAの発現を指標にRT-PCR法で検討した。その結果、IL-10 mRNAの発現はBMとBRとで同様であるが、IL-12 mRNAはBM感染後12時間と、BRの場合に比べて12-36時間も早期にその発現が認められた。以上から、IL-12、ならびにIL-10の発現誘導における違いが両原虫間のT細胞応答、さらには感染経過の違いに関与している可能性が示唆された。
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