研究概要 |
マメ科の3種Paraserianthes falcatariaとAcacia mangium,Leucaena leucocephalaの実生を無菌的に培養し,Alストレス下での成長を調べたところ,いずれの種も根の伸長が抑制された。10mM Al添加区でL.leucocephalaが枯死したのに対し,P.falcatariaは根の伸長抑制が30%にとどまり,Alストレスに耐性があることが明らかになった。培地中の有機酸を分析したところ,クエン酸をAlストレス下で誘導的に根から分泌していた。特にP.falcatariaは誘導量が大きかった。有機酸の生合成を制御するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性も3種のうちP.falcatariaが最も高かった。外生クエン酸を培地に加えると3樹種ともAlによる根の伸長抑制が緩和された。P.falcatariaでは内生クエン酸を多く分泌することがAlに対する耐性機構の一部であることが示唆された。 前年度に確立したShorea roxburghiiのカルス培養系に加え,S.macrophyllaのカルス培養系も確立した。これらの培養系を用い、炭素源として培地に添加する糖の種類による成長差を調べた。6種類の糖のうちマルトースとスクロースで成長がよかった。カルスの健全さを加味するとマルトースが適していることが明らかになった。 Melaleuca cajuputiの実生は頂端まで冠水させるとほとんど樹高成長が見られなくなるが,根系のみを滞水条件においた場合は成長が抑制されなかった。
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