研究概要 |
1.アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子のゲノム解析 Brassica campestrisのS8,S9,S12株のゲノムを単離し,ゲノミックサザン分子生物学を行った.その結果,S12株のゲノムのHindlll断片に,SRK12遺伝子の全長が入っていると推定されたので,この断片をゲノムライブラリーからクローン化し,制限酵素地図の作成,塩基配列の決定(一部)を行った.SPK12のプロモーターはこれまで知られているSLGのプロモータと相同な配列が存在した. 2.形質転換ブラシカの作成 (1)アンチセンス遺伝子を導入したアブラナ科植物の作成 SLG8のアンチセンス遺伝子を含む形質転換用のコンストラクトを作成した.プロモーターにはSLGのプロモーターと35Sのエンハンサー部分をタンデムにつないだ.Tiプラスミドの系で,Brassica papa(syn.campestris)に導入し,形質転換植物を得た.此の形質転換植物は,自家不和合性が打破され,自家受粉で種子を形成した.ノーザン分析で,SLG,SRKのmRNAが減少しており,ウエスタン分析では,SLG蛋白質は検出できなかった.これにより,SLGあるいはSRKの自家への関与が初めて証明された. (2)アブラナ科植物でのSLG蛋白質の発現 SLG8を35Sプロモーターにつなげ,Riプラスミドの系でアブラナ科植物に形質転換した.得られた毛状根中のSLGをウエスタン分析で調べたところ,分子量的にはSLGと同じくらいだが等電点がSLG8とは異なっている位置にバンドが検出された.
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