研究課題/領域番号 |
06454140
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学部, 教授 (80109529)
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研究分担者 |
滝川 俊也 京都大学, 医学部, 助手 (90263095)
石橋 誠 京都大学, 医学部, 助手 (30232341)
森 千里 京都大学, 医学部, 助教授 (90174375)
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キーワード | アポトーシス / プログラム細胞死 / DNA断片化 / 形態形成 / 口蓋 / 四肢 / マウス胎児 / 発生異常 |
研究概要 |
1.マウス胎児器官の形成過程に見られるアポトーシス (1)二次口蓋 マウス胎児の二次口蓋突起の癒合部に観察される細胞死がアポトーシスであるか否かを、DNAの断片化を細胞化学的に染色するTdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)法を用いて調べた。ICR系マウス胎児では、左右の口蓋が接近してくる時や、上皮が互いに接する段階(胎齢12〜13日)には、口蓋突起先端の上皮と間葉のいずれにも、TUNEL陽性反応は認められなかった。癒合が進み、正中線上の上皮縫線が断裂してepithelial islandの状態になると、その部位の細胞に初めてTUNEL陽性反応が認められた(胎齢14日)。TUNEL陽性細胞のほとんどは、ケラチンも共発現しており、癒合部に残存した上皮縫線の細胞が消失するためにアポトーシスが必要であると考えられた。 (2)指の形成 指が分化しつつある胎齢13日のICRマウス胎児の四肢原基を調べたところ、指間部間葉細胞に、TUNEL陽性反応が検出された。また、13日胎児四肢の指間部組織について電気泳動を行ない、DNA断片化の生化学的指標であるDNA ladderを検出した。増殖細胞をラベルするBrdU/anti-BrdU免疫染色では、12日までは指間部の間葉細胞が活発に増殖しているが、13日には指間部細胞の増殖がほとんど停止していた。以上から、哺乳類胎児においては、指間部でアポトーシスの起ることが指の分化にとって必要であることが明かになった。 2.アポトーシスの異常による発生異常 妊娠13日の妊娠ICRマウスにBrdUを投与すると、胎児に合指症などの指奇形が誘発された。投与後、四肢原基におけるアポトーシスを経時的に観察したところ、指間部および関節原基のアポトーシスが減少または消失しており、指間部のプログラム細胞死が正常な指の形成にとって必要であることが明かになった。
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