研究概要 |
GPI結合型蛋白質、糖脂質、スフィンゴミエリンの細胞膜上の局在を免疫組織化学的に検索した。これらの分子はいずれも、カベオラに相当するとされる界面活性剤不溶性複合体に濃縮される。氷温でThy-1,2(GPI結合型蛋白質)、β2-ミクログロブリン、トランスフェリンレセプター(膜貫通型蛋白質)、lactosyl ceramide, ceramide tetrahexose, Forssman抗原(糖脂質)、スフィンゴミエリンに対する抗体を培養細胞に作用させ、固定後に標識二次抗体を与えると、標識は細胞膜全域に一様に見られた。一方、氷温で一次・二次抗体を作用させた後、37℃に加温すると、トランスフェリンレセプターは核周囲のエンドソームと思われる構造に5分程度で取り込まれたが、その他の抗原に対する標識は10〜30分後にカベオラに集中した。この際、GPI結合型蛋白質と糖脂質、あるいはGPI結合型蛋白質とスフィンゴミエリンは、まず共通のパッチを形成し、その後、共通のカベオラに移動することが観察された。またサイトカラシンDやノコダゾールによってアクチン線維や微小管を脱重合させても、カベオラへの集中は認められた。この結果は、GPI結合型蛋白質、糖脂質、スフィンゴミエリンのカベオラへの集中が抗体による架橋時にのみ起こり、しかも細胞骨格に依存しないことを示した。また同時に、界面活性剤不溶性複合体にはカベオラ以外の成分が含まれることも示唆された。
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