研究概要 |
遺伝子の活性化あるい不活性化にはDNA調節エレメントと蛋白質性の転写調節因子間で安定した複合体を形成する事がDNAレベルでは必須な反応であると考えられている。我々はこの調節因子の局在を証明する組織化学的検出法(South-Western Histochemistry,SWH)を開発した。この方法を利用して、成長ホルモン(GH)遺伝子転写を活性化する調節因子(Pit-1/GHF-1)とそれが結合する調節エレメント(GHE-1)、不活性化する調節因子(PREBP)とそれが結合する調節エレメント(PRE)の四者が既に解明されているGH遺伝子系を利用して、ホルモン遺伝子転写調節因子の細胞ならびに組織内分布を同定する。GHE-1,mutated GHE-1,PRE,mutated PREのプラス鎖4種とこれらに相補的な塩基配列をもつマイナス鎖4種、計8種のオリゴヌクレオチドの合成が終了した。各々、相補的なプラス鎖とマイナス鎖を混合して2本鎖オリゴヌクレオチドを形成させプローブとした。それらのプローブの特異性の同定している。これには下垂体細胞の核から抽出した蛋白を電気泳動して、フィルターに転写して合成プローブと結合させ、抗T-Tダイマー抗体を利用した酵素抗体法を施行している。これらプローブの検出および定量には今回、購入したジーンクホントが使用されている。すべての組み合わせは完了していないが、現在のところ予想と矛盾する結果は出ていない。組織レベルのSOUTH-WESTERN法の手法はほぼ確立されたので、上記の一部の合成プローブ(特に対象プローブ)と下垂体前葉組織との非特異的結合の有無を確認しつつある。また、細胞培養の設備がほぼ完成したので、下垂体前葉ガン細胞の培養を開始した。
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