間該年度は、引き続きケイジド試薬を用いた外分泌腺細胞の開口放出の時間及びカルシウム依存性を膜容量測定法を用いて更に精密に調べた。外分泌腺には最低5μモルのCa上昇を必要とし、10μモルの親和性を持つ、遅い開口放出路と、最低10μモルのCa上昇を必要とし、20μモルの親和性を持つ速い開口放出路が存在することが確定的となった。遅い開口放出路は現在までに生化学的に調べて来た、アミラーゼの分泌のCa依存性に合致し、zymogen granule の開口放出を見ていると考えられた。さて、これらの低親和性の開口放出が生理的に何故起きるかを、究明すべく、低親和性Ca指示薬、BTC、によってCa画像解析を行なった結果、生理的アゴニスト刺激で、トリガー領域(先端部)のCa濃度が10μモル程度まで上昇することをつきとめた。このμモルのCa勾配は開口放出に不可欠であり、サブμモルのCa勾配が起きた時には、Ca依存性イオンチャネルの活性化が起き、溶液輸送は起きるが、開口放出は起きなかった。これらの発見は、μモルオーダーのCa上昇が上皮細胞でも起き、り、が開口放出という重大な機能に直結している事を初めて示すものであり、すべての細胞においてBTCのような低親和性の色素を用いてCa画像処理はやり直すべきであるという事を強く促すものである。
|