研究概要 |
【研究結果】 膵β細胞PACAP受容体 (1)PACAP10^<-13>Mに対するβ細胞の細胞質遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>])の増加応答は、VIP10^<-8>M前処置により抑制されなかった。 (2)VIP受容体阻害剤によりPACAP10^<-13>MおよびVIP10^<-8>Mに対するβ細胞[Ca^<2+>]増加応答は共に抑制されなかった。 PACAP応答を担うイオンチャンネル (3)PACAP10^<-13>Mによるβ細胞[Ca^<2+>]増加とインスリン分泌はL型[Ca^<2+>]チャネル阻害剤nitrendipineにより抑制された。 PACAP応答におけるcAMPの役割 (1)膵島cAMPをRIA法で定量した。PACAPは濃度依存性に膵島cAMPを増加させ10^<-13>と10^<-8>Mにピークが見られた。 (2)PACAP10^<-13>Mによるβ細胞[Ca^<2+>]増加とインスリン分泌はcAMP依存性燐酸化酵素阻害剤により抑制された。 (3)db-cAMP(膜透過性のcAMPアナログ),forskolin(cAMP合成酵素の活性化剤)はβ細胞[Ca^<2+>]増加を誘導し、これはPACAP10^<-13>Mによるものと類似した。 (4)db-cAMP,forskolinによるβ細胞[Ca^<2+>]増加も、L型Ca^<2+>チャネル阻害剤nitrendipineにより抑制された 【結論】 膵β細胞PACAP受容体 (1)PACAP10^<-13>Mの作用はVIP受容体によらずPACAP選択的受容体によって仲介されていると示唆される。 (2)VIP10^<-8>Mの作用もPACAP選択的受容体によって仲介されている可能性が示唆される。 膵β細胞におけるPACAP情報伝達機構 (1)PACAP10^<-13>Mはβ細胞のcAMPを増加させ、cAMP依存性燐酸化を介して、L型Ca^<2+>チャネル活性を増強する。 (2)この機構は、PACAP10^<-13>Mによるβ細胞[Ca^<2+>]増加およびインスリン分泌の大部分を仲介している。
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