研究概要 |
平成6年度の研究目的はリアノジン受容体の生理学的機能解析のための変異モデル実験動物系の検索又は作製であり、申請書に述べたように主に以下の2つの実験を遂行した。 (i)多くの変異種が作製されているショウジョウバエにおいて、リアノジン受容体相同遺伝子を検索し単離した。その同定された染色体座における変異体は単離されたという報告は残念ながら無かったが、このリアノジン受容体相同物の推定一次構造を明らかにし、リアノジン受容体の分子進化についての考察を行った(FEBS Lett.337,81)。(ii)骨格筋型リアノジン受容体遺伝子における相同組み換え実験をマウス胎性幹細胞(ES cell)で行い、骨格筋型リアノジン受容体欠損マウスを樹立し、このマウス形態学と生理学的特徴を野生型のものと比較検討した。その解析の結果、骨格筋型リアノジン受容体は骨格筋の形態的成熟に必須の分子であることを明らかにするとともに、興奮-収縮連関の際のカルシウム放出チャンネルとして機能していることを証明した(Nature369,6481)。今後は、得られた変異マウスの筋組織により詳細な解析すなわち、電子顕微鏡による微細構造変化の解析や蛍光色素によるカルシウム動員機構の検討などを行うことによって、リアノジン受容体の生理的機能に迫る実験を予定している。
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