研究課題/領域番号 |
06454151
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐々木 和男 富山大学, 工学部, 教授 (60042826)
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研究分担者 |
塚田 章 富山大学, 工学部, 助手 (40236849)
川原田 淳 富山大学, 工学部, 助教授 (80195164)
大村 裕 日本臓器製薬(株), 生物活性研, 顧問
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キーワード | 線維芽細胞成長因子 / 摂食 / 黒質ドーパミンニューロン / CRF / 室傍核 / 学習 |
研究概要 |
平成7年度の研究において以下の知見を得た。 1.摂食行動に対する抗線維芽細胞成長因子レセプター1(FGFR-1)抗体の作用:酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)が摂食抑制作用をもつことはすでに報告した。今回、その作用部位を調べるため抗FGFR-1抗体を視床下部外側野(摂食中枢)に投与したところ摂食量の有意な増加が認められた。したがって、aFGFは摂食中枢に作用し、摂食を抑制すると考えられる。 2.中枢神経細胞に対するaFGFの作用発現機序:aFGFを電気泳動的に黒質ドーパミンニューロンに投与したところ、aFGFは約4割のニューロンの活動を促進した。これはaFGFが線条体においてドーパミンを遊離させる可能性を示唆するものである。 3.aFGFの内分泌系に対する作用:aFGFの脳室内投与は血漿コルチコステロンを有意に増加させることが判明した。コルチコステロンの遊離は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により、ACTHの遊離は副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)による。そこで、CRF含有細胞をもつ視床下部室傍核小細胞部ニューロン活動に対するaFGFの作用を低Ca^<2+>-高Mg^<2+>灌流液中で調べたところ、aFGFは約半数のニューロンの活動を促進した。したがって、aFGFは室傍核CRF含有細胞に作用してCRFの遊離を促し、ACTHを介して血漿コルチコステロンを増加させるものと推測される。 4.老化促進モデルハウスの学習・記憶能力の低下に対するaFGFフラグメントの効果:aFGFフラグメント[Ala^<16>]aFGF(1-29)投与老化促進モデルハウスの学習・記憶能力を受動的回避学習及びモリス水迷路学習課題を用いて調べたところ、対照群に比べ[Ala^<16>]aFGF(1-29)投与マウス群では学習・記憶能力の低下が阻止されることが明らかになった。
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