研究課題/領域番号 |
06454151
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐々木 和男 富山大学, 工学部, 教授 (60042826)
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研究分担者 |
塚田 章 富山大学, 工学部, 助手 (40236849)
川原田 淳 富山大学, 工学部, 助教授 (80195164)
大村 裕 日本臓器製薬(株), 生物活性研, 顧問
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キーワード | 線維芽細胞成長因子 / 内側手綱核 / 老化促進モデルマウス / 長期増強 / 内側中隔 / 学習 |
研究概要 |
平成8年度の研究において以下の知見を得た。 1.中枢神経細胞に対する酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)の作用発現機序:内側手綱核の脳切片標本を用いてaFGFを灌流液中に投与したところ記録ニューロンの約25%が促進、約50%が抑制応答を示し、残りのニューロンは無反応であった。内側手綱核にはFGFレセプター1及び4があるとされることからこれらレセプタが応答の発現に関与していると考えられる。2.老化促進モデルマウス(SAMP8)の学習・記憶能力の低下に対するaFGF及びそのフラグメントの作用:SAMP8の学習・記憶能力の低下の原因が内側中隔コリン作動性ニューロンにおけるコリンアセチルトランスフェラーゼ活性の低下であること、またaFGF及びそのフラグメント[Ala^<16>]aFGF(1-29)の長期皮下投与がこの活性低下を阻止し、学習・記憶能力を改善することが判明した。3.SAMP8における海馬の長期増強に対するaFGF及びそのフラグメントの作用:無処置SAMP8の海馬における長期増強の程度が非常に減弱していること、一方、aFGF及びそのフラグメントaFGF(1-15)を皮下に長期投与したSAMP8では長期増強の程度は有意に改善されていることが明らかになった。4.学習・記憶促進作用に関与する遺伝子発現:海馬の長期増強時に転写因子zif/268のmRNAの発現がおこる。グルコース投与によりaFGFが脳室壁上衣細胞から遊離され学習・記憶が促進されているときのzif/268の発現を海馬や皮質で調べたところ、zif/268の発現には変化がなく、aFGFによる学習・記憶促進にはこの転写因子が関与していない可能性を示す結果を得た。
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