研究概要 |
平成6年度には,正常および抗c-kitモノクローナル抗体(ACK2)処置マウスの胃平滑筋急性単離細胞におけるCa^<2+>動員系を比較検討を行った。膜電流の測定にはニスタチン法を,細胞内Ca^<2+>濃度測定にはfura-2を用いた。保持電位-20mVに膜電位固定下,ACK2処置群,未処理群の急性単離細胞ではryanodine感受性の自発性Ca^<2+>-activated K^+電流と,caffeine惹起のCa^<2+>-activated K^+電流が観察されたが,培養細胞ではほとんど観察されなかった。これらの電流のthapsigargin感受性の違いからACK2処置群ではryanodine感受性Ca^<2+>貯蔵部位のCa^<2+>の取り込み能率低下が起こっていることが明らかになった。細胞内Ca^<2+>濃度測定では、ACK2処置群,未処置群,および細胞培養群で,高K^+電流外液(100mM)とcaffeineにより一過性のCa^<2+>濃度上昇が見られたが,培養細胞では,高K^+外液応答に比べcaffeineが非常に弱く,同Ca^<2+>貯蔵部位の全般的な活性低下が示唆された。一方,膀胱平滑筋細胞でもc-kit発現の抑制が膀胱平滑筋リアノジン感受性Ca^<2+>貯蔵部位再取り組み機構に何らかの影響を与えていることが明らかとなった。
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