研究課題/領域番号 |
06454169
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
静田 裕 高知医科大学, 医学部, 教授 (50025631)
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研究分担者 |
野本 聡 高知医科大学, 医学部, 助手 (70271096)
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キーワード | ステロイドホルモン / アルドステロン / コルチゾール / 合成不全 / 遺伝病 / エストロゲン / 転写因子 / NF-IL6 |
研究概要 |
副腎で産生されるステロイドホルモンは、糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドに分類される。前者の代表的なものは、コルチゾールであり、これは11β-水酸化酵素(P-450_<11β>)の触媒反応で生成する。後者の代表的なものは、アルドステロンであり、従来、この合成を司る酵素は、P-450_<11β>と同一とする説と、別個の酵素が関与するという説に分かれ、その本態は不明であった。我々はヒト由来のステロイド18水酸化酵素(P-450_<C18>のcDNAを単離してCOS細胞で発現させ、これがアルドステロン合成酵素であることを明らかにした。そして、従来、CMO欠損症と呼ばれてきた、遺伝性アルドステロン合成酵素欠損症の実態を解明し、これがP-450_<C18>の遺伝子異常であることを明らかにした。すなわち、CMOI欠損症は、コルチコステロンから18水酸化コルチコステロンの合成を触媒する酵素の欠損症であり、CMOII欠損症は18水酸化コルチコステロンからアルドステロンの合成を触媒する酵素の欠損症と考えられてきたが、P-450_<C18>は、双方の酵素活性を持つ多機能酵素で、CMO I欠損症はP-450_<C18>の完全欠損症(null mutant)であり、CMO II欠損症は、遺伝子内の2つの部分に点突然変異を起こしアミノ酸置換が起こるため、18水酸化活性が著しく低いP-450_<C18>を生成するleaky mutantであることが判明した。 次に、11β水酸化酵素欠損症の患者の遺伝子を分析し、この患者のP-450_<11β>の遺伝子にナンセンス変異を含む点突然変異があり、11β水酸化酵素が全く不活性化していることを証明した。 最後に、女性ホルモン合成酵素であるアロマターゼP-450の発現の為にNF-IL6が必須であることを明らかにした。
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