研究概要 |
動物細胞のCRE結合蛋白質は機能的にCREBタイプとCRE-BP1(ATF-2)タイプの2つに大別できる。CREBは直接PKAによりリン酸化され、リン酸化されたCREBのみがコアクテイベータ-CBPと結合し、転写を活性化する。一方CRE-BP1はJunとヘテロダイマーを形成し、CREと結合し転写を活性化する。また最近CRE-BP1はMAPキナーゼファミリーのJNKによりリン酸化され、その活性が調節されることが示された。CRE-BP1の生理的役割を明らかにするため、ES細胞を用いてCRE-BP1遺伝子ファミリー(CRE-BP1, ATF-a, CRE-BPa)の遺伝子欠損マウスの作製した。相同組み替えを起こしたESクローンからヘテロ変異体を作製した。ヘテロ変異体では全く異常が見られなかったが、ホモ変異体はすべて生後すぐに(20-30分以内)にチアノ-ゼを伴う呼吸不全のため死亡した。どの組織でも明らかな形態異常は見られなかった。現在中枢神経系のシグナル伝達に異常があるのではないかと考え、解析を進めている。 一方、CRE-BP1遺伝子ファミリーに属する別の転写因子ATF-a,CRE-BPaの変異マウスも作製した。現在ホモ変異体の詳細な解析を進めている。 また別の核内がん遺伝子産物で転写因子として機能することが推定されているsno遺伝子の変異マウスを作製した。ホモは胎生致死であり、受精後約10日目で死亡する。またヘテロ変異体の一部にも生後体重減少などの異常が見られ、死亡するものも見られた。
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