研究概要 |
エリスロポエチン(Epo)レセプターを介したシグナル伝達の制御機序を分子生物学的、生化学的に解析した。1)チロシンキナーゼの特異性とシグナル伝達機序の解析:JAK2以外の赤血球特異的チロシンキナーゼとして、Tecキナーゼを同定し、VavがTecホモロジー領域を介して結合することを証明した。Vavのリン酸化とTecの結合は、Epo誘導によって起きること、さらにVavはGrb2と恒常的に結合することを明らかにした。2)Epoレセプター直下で作用するシグナル伝達分子の同定と生理機能の解析:Epoレセプター細胞膜内特定領域を相互作用する蛋白cDNAを酵母ツ-ハイブリッド法及びGST融合蛋白をプローブとしたウエストウエスタン法を用いて複数の遺伝子が単離され、現在解析中である。3)Epoレセプターβサブユニットの同定:Epo依存性に増殖可能な細胞から可溶性Epoレセプターのアフィニティーカラムを用いてβサブユニットと考えられる膜蛋白質を同定した。現在そのcDNAの単離を行なっている。4)核内因子の活性化機序の解析:核内での赤血球特異的転写因子GATA-1,SCL,NFE-2、Rbtn2、Idファミリー、Hox2等の活性化機序をEpo投与後に於けるリン酸化とキナーゼの同定により解析した。GATA-1はHox2遺伝子の発現を制御していることをトランジェントアッセイ、ゲルシフトアッセイを用いて明らかにした。Idファミリーのリン酸化によるホモ、ヘテロ2量体形成に及ぼす効果を明らかにした。
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