新しい情報因子としてのアラキドン酸選択性細胞質ホスホリパーゼA_2群

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06454174
• 研究機関: 昭和大学
• 研究代表者: 工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
• 研究分担者: 新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助手 (60266161) ; 中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 助手 (80266163) ; 厚味 厳一 昭和大学, 薬学部, 助手 (70276608)
• キーワード: ホスホリパーゼA_2 / アラキドン酸カスケード / MAPキナーゼ / リン酸化

研究概要

エンドトキシン処理したラットの脳及び肺を材料に、誘導型60K PLA_2の完全精製と構造決定を目指していたが、本酵素とカラム上で挙動を共にするタンパク質が多量に存在し、また、精製の進行に伴い失活する傾向があった。そこで、來雑タンパク質を減らすために培養細胞中の、より多量の酵素が得られる酵素源を探索するためにエンドトキシン処理ラットの他の臓器中の、炎症刺激に伴うPLA_2発現変動の検討を行った。
1.サイトカイン処理ラット培養線維芽細胞株3Y1
腫瘍壊死因子(TNF)とインターロイキン-1(IL-1)で同時に刺激を行うことにより、それぞれを単独で添加した場合と比べて相乗的に3Y1細胞内のPLA_2活性が上昇することがわかった。また、cPLA_2の特異的プローブを用いたノーザンブロット解析により、cPLA_2のmRNAが刺激の数時間後に一過的に減少する減少を観察した。
2.エンドトキシン処理ラット
リポ多糖処理ラットの腎臓可溶性画分中に、無処理ラットと比較して約2倍のPLA_2活性が検出された。cPLA_2の特異的プローブを用いたノーザンブロット解析により、cPLA_2のmRNAが刺激の数時間後に一過的に減少する現象を観察した。
今後は、エンドトキシン処理ラット肺及び腎臓を材料に完全精製を目指す。また、培養線維芽細胞と生体ラットで観察されたcPLA_2 mRNAの一過的減少とされに続く増加のメカニズムを解析することにより、cPLA_2と構造が類似した酵素が誘導される可能性を検討していきたい。

研究成果

• [文献書誌] Murakami, M. et al.: "Secretory Phospholipases A_2" J. Lipid Med. Cell Signalling. 12. 119-130 (1995)
• [文献書誌] Suga, H. et al.: "Exogenous Type II Phospholipase A2 Stimulates PGE2 Synthesis in Rat Liver BRL-3A Cells in the Presence of TNF" J. Biochem. (Tokyo). 118. 939-945 (1995)
• [文献書誌] Onoe, Y. et al.: "IL-13 and IL-4 Inhibit Bone Resorption by Suppressing Cyclooxygenase-2-Dependent Prostaglandin Synthesis in Osteoblasts" J. Immunol.156. 758-764 (1996)
• [文献書誌] Yokoyama, K. et al.: "Phospholipd Degradation in Rat Calcium Ionophore-Activated Platelets Is Catalyzed Mainly by Two Discrete SecretoryPLA" J. Biochem. (Tokyo). 117. 1280-1287 (1995)
• [文献書誌] Naraba, H. et al.: "Activation of PLA2 and Acylation of Lysophospholipds: The Major Regulators for PAF Production in Rat Neutrophils" J. Biochem. (Tokyo). 118. 442-447 (1995)
• [文献書誌] Hara, N. et al.: "Lysophosphtidylserine Enhances Exogenous Type II Phospholipase A_2-Induced Activation of Rat Serosal Mast Cells" Biol. Pharm. Bull.(in press). (1996)