研究課題/領域番号 |
06454179
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
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研究分担者 |
鈴木 啓史 徳島大学, 医学部, 助手 (80253194)
林 陽子 徳島大学, 医学部, 助手 (60035441)
上田 夏生 徳島大学, 医学部, 助教授 (20193807)
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キーワード | アラキドン酸 / プロスタグランジン / アナンダミド / リポキシゲナーゼ / 12-リポキシゲナーゼ / シクロオキシゲナーゼ-1 / シクロオキシゲナーゼ-2 / バキュロウイルス |
研究概要 |
不飽和脂肪酸のアラキドン酸から生理活性エイコサノイドを作る代謝系を律速する酵素は、シクロオキシゲナーゼとリポキシゲナーゼである。シクロオキシゲナーゼの2つのアイソザイム(COX-1とCOX-2)、ならびに12-リポキシゲナーゼ2つのアイソザイム(血小板型と白血球型)について、その触媒能と遺伝子発現調節機構を解析した。 1)12-リポキシゲナーゼの自殺失活(分担 鈴木啓史):白血球型は反応開始直後に失活し始め、2-3分間でほぼ完全に失活する。血小板型ではこのような顕著な自殺失活はなく、反応はほぼ直線状に進行する。白血球型がアラキドン酸と反応すると12位の酸素添加の他に部分的に15位にも酸素添加して、15-ヒドロペルオキシ酸を生じる。後者はさらに同じ酵素の作用で共役トリエンをもつ14,15-エポキシドになる。種々の実験条件を検討して、白血球型ではこのエポキシ酸が酵素蛋白に取込まれることによって失活し、血小板型ではこの14,15-エポキシドをほとんど生成しないために、顕著な失活がないと考えられた。 2)5-リポキシゲナーゼの特異的阻害剤(分担 鈴木啓史):抗酸化作用をもつ化合物YT-18が、5-リポキシゲナーゼ反応の立上りを阻害し、他のリポキシゲナーゼやシクロオキシゲナーゼは阻害しなかった。 3)シクロオキシゲナーゼ-1の誘導(分担 上田夏生):ヒト巨核芽球系白血病細胞CMKにTPAを与えると、早期の一過性のCOX-2の誘導の後に、ゆっくりとCOX-1が発現することが見出された。 4)シクロオキシゲナーゼ-2の誘導(分担 山本尚三):マウス骨芽細胞MC3T3-E1にTNFαを与えると、COX-2が1-2時間のうちに顕著な誘導を来たした。その遺伝子DNAの5端上流に見出される種々の転写調節エレメントを解析して、NFκBとNF-IL6が協調して、COX-2遺伝子の転写調節因子として酵素誘導を来たすものと考えられた。
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