研究課題/領域番号 |
06454182
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
小林 和人 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所(神経化学), 講師 (90211903)
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研究分担者 |
永津 俊治 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所(神経化学), 教授 (40064802)
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キーワード | カテコールアミンニューロン / チロシン水酸化酵素 / ドーパミンβ-水酸化酵素 / フェニルエタノールアミンN-メチル転移酵素 / アドレナリン受容体 / イムノトキシン細胞標的法 / トランスジェニックマウス / ジーンターゲティング |
研究概要 |
カテコールアミン特異性の遺伝的変換とレセプターの発現調節---ヒトDBH遺伝子プロモーターの制御下に感神経の標的臓器におけるアドレナリンレセプターの発現パターンに与える影響について解析した。トランスジェニックマウスの種々の臓器においてにおいて、β2-AR結合数の56.4%から74.9%の減少が主要に誘起され、このdown regulationはレセプターmRNAレベルの減少に基づくことが判明した。トランスジェニックマウスに見い出されたレセプター結合数の調節は、刺激量の変化に対して生体機能をコントロールするための重要な補償機能の1つであることが推測された。(2)ドーパミンβ-水酸化酵素の過剰発現とカテコールアミン代謝の調節---ヒトDBHミニ遺伝子を導入したトランスジェニックスにおいて導入遺伝子産物、正常な翻訳後修飾を受け、分泌小胞内に可溶型および膜結合型の2種類の様式で存在した。トランスジェニックマウスの種々のカテコールアミン含有細胞においてDBH活性の顕著な増加が誘導されたが、定常状態でのカテコールアミン量はコントロールレベルに比較して一定に保持されていた。DBH活性の上昇にもかかわらず、ノルエピネフリンの合成速度を調節するメカニズムの存在が示唆された。(3)チロシン水酸化酵素の遺伝子変異によるカテコールアミン欠損と周生期致死性---ジーンターゲティング法により作成したTHミュータントマウスにおいて極度のカテコールアミン欠乏が誘導さえ、胎生後期あるいは出生後まもなくに死亡した。HTは、動物の形態形成には直接影響を及ぼさなかったが、種々のカテコールアミン機能のうち、特に心臓機能の異常が観察された。また、THミュータントにヒトTHトランスジーンを導入することによって、ミュータント表現型は完全に回復した。TH遺伝子は胎生期および新生期における動物の生存のために必須であることが明らかとなった。(4)イムノトキシン細胞標的法による特定神経細胞の条件的破壊---トランスジェニックマウスを利用して特定の細胞系列を破壊するための新しい方法論を考案し、ノルアドレナリンニューロンの誘導的破壊に適用した。DBH遺伝子プロモーターを利用して、組織特異的にヒトII-2Rαを発現するトランスジェニックマウスを作成し、マウスの脳室内にイムノトキシンanti-Tac(Fv)-PE40を投与した。組織学的解析によって、イムノトキシンを投与したトランスジェニックマウスにおいてDBH発現細胞の選択的変性が明らかとなり、DBH活性およびノルエピネフリンレベルの顕著な減少が誘導された。
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