Eta-1は活性化したT細胞より分泌されるサイトカインであり、しかも分子内にいわゆるRGD配列を有し細胞外マトリックスとしての性格も有する興味深い分子である。我々はEta-1分子内に存在する細胞結合部位を明らかにする目的でGSTとのキメラ分子として、大腸菌を用いて各種リコンビナントEta-1を作製した。これらリコンビナントEta-1とB16-BL6、B16-F10、及びL929細胞との接着実験及びRGDSペプチドや抗α_v抗体による接着抑制実験を行った。その結果、以下の新知見を得た。(1)Eta-1分子内にはRGD以外にN末端側及びC末端側の少くとも2ケ所に新たな細胞結合部位が存在する。(2)この部位に対する受容体は、これまでEta-1の受容体と報告されていたα_vインテグリン分子とは異なる。(3)このインテグリン以外の受容体を発現し、RGD以外の部位でEta-1と接着できる細胞は、ごく限られた細胞でL929、B16-F10にはなく、B16-BL6のみで認められた。(4)この受容体は補助的な機能を担うものでなく、α_vインテグリンが関与しない条件下でも、強い細胞接着と細胞伸展を媒介できる機能的受容体である。
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