研究概要 |
CBA/KlJms-lpr^<cg>/lpr^<cg>(CBA-lpr^<cg>)マウスのMRL/MpJ(MRL)への12回目の戻し交配で得られた子ども同士の交配により得られた子孫からlpr^<cg>ホモ個体を選択してMRL-lpr^<cg>/lpr^<cg>(MRL-lpr^<cg>)コンジェニックマウスを完成した。リンパ器官の腫脹、CD4^-8^-,Thy-1^+,B220^+細胞のリンパ節(LN)への蓄積、300mg/dl以上の蛋白尿の出現、重症な糸球体腎炎と肉芽腫様動脈炎の発生、顕著な腎臓へのC3沈着、血中免疫複合体量、血中の1g量及び抗一本鎖DNA抗体量などから、総合的に判断して、MRL-lpr^<cg>は、多くの点でMRL-lprと類似し、有用な自己免疫病のモデルとなりえることを明らかにした。さらに、lpr^<cg>の最も重要な特性であるgldとの相補作用を考慮して、MRL-lpr^<cg>/+(ヘテロ)マウスでの自己免疫症状を追究した。MRLの背景遺伝子をもつlpr^<cg>ヘテロ接合状態ではCD4^-8^-T細胞によるLN腫脹が全く起こらないにも拘らず、明瞭な糸球体腎炎が50%で見られ、発生率がMRL-lprに匹敵していた。同時に血中lgG量の上昇と高頻度の腎臓へのC3沈着が見られた。腎炎の成立には腎臓への免疫複合体の沈着が重要で、異常CD4^-8^-T細胞と直接関係ないことが示唆された。MOL-MITを用いた亜種間交配法により、米国の研究者との共同研究でMRLで見出したlpr腎炎を悪化する量的形質遺伝子である第7染色体上のLmdr1と第12染色体上のLrdm2がlpr^<cg>により誘発される腎炎に対しても同様の機能を示すかを確認しつつある。CBA-lpr^<cg>及びC3H/HeJ(C3H)-lpr/lprで腫脹LNを構成するCD4^-8^-T細胞がFasリガンド8FasL)を高発現していることを証明し、C3H-gld/gld,lpr/lprダブルミュータントを作出し、正常C3Hへの骨髄移植によりlpr骨髄移植によるリンパ節萎縮症がこのFasLによって引き起こされることを明らかにした。
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