1.メタロチオネイン(MT)プロモーターTMの作出と解析:MTプロモーターをマウスのOP遺伝子の5'上流に連結した変異遺伝子を作成し、C57BL/6NマウスにおけるMTプロモーターのTM(MTTM)作出に成功した。しかし、ヘテロの産仔数が少なく、また、ホモMTTMが胎生期あるいは新生仔の段階で全部淘汰され(仔が母親により食べられる)。ホモMTTMの作出を中断した。そこでF1マウスでのTM作出も試みたが、理由は不明であるがTMは得られなかった。少数ながらfounderマウスの亜鉛投与非投与のさいのOPの組織発現状態をノーザン法で検討し、通常食餌飼育では肝臓に、亜鉛投与(50mM/ml亜鉛含有水の飲水)4日目では肝臓の他、小腸に強いOPの発現を検出した。また、末梢血中にOPの増加をウエスタン法で検出した。また、PAP染色で肝臓および小腸にOPが検出された。なおfounderそのものの健康状態は良好で、2年生存中のものも存在する。なお、40週令のMTTMでは肉眼的に臓器の異常は見られず、また、光顕的にもHE染色上異常は見られない。2.サイトメガロウイルスおよびα2UダロブリンプロモーターTMの作出と解析:サイトメガロウイルス(CV)およびα2Uグロブリン(α2U)のプロモーターをマウスのOP遺伝子の5'上流に連結した変異遺伝子を作成し、C57BL/6NマウスのTMを作成した。これらのTMの繁殖も不成功であったが、数匹のfounderマウスのOPの組織発現状態をノーザン法で検討し、CVTMでは腎臓に、α2Uでは肝臓でOPの発現を検出した。また、末梢血中にOPの増加をウエスタン法で検出した。また、PAP染色で腎臓および肝臓にOPが検出された。3.α1アンチトリプシン(α1AT)プロモーターTMの作出と解析:以上の諸プロモーター・マウスOP遺伝子トランスジーンによるTMでは計画している諸実験に供するTMの生産が不可能と判断されたので、α1ATプロモーターの下流にβグロビンイントロン-マウスOP cDNA-SV40ポリAシグナルから成るトランスジーンを構築し、これをC57BL/DBA/2 F1マウスで発生させたこのTMは生産性が極めて良好で、現在、純系化を目指してC57BL/6へのバッククロスを行っているこれまでの検索ではOPの肝臓での強い発現がノーザン法とPAP法で確認された。また、末梢血中にOPの増加をウエスタン法で検出した。なおこの系統のTMもfounderおよび子孫の健康状態は良好で2年生存中のものも存在する。なお、40週令のMTTMでは肉眼的に臓器の異常は見られず、また、光顕的にもHE染色上異常は見られない。
|