研究課題/領域番号 |
06454199
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
平井 和光 鳥取大学, 医学, 助教授 (20093940)
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研究分担者 |
福本 宗嗣 鳥取大学, 医学部, 助教授 (60111126)
佐藤 建三 鳥取大学, 医学部, 教授 (40113196)
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キーワード | マンソン裂頭条虫 / 擬充尾虫 / 成長ホルモン / 成長因子 / システインプロテイナーゼ |
研究概要 |
マンソン裂頭条虫擬充尾虫が産生する27kDa蛋白は、その部分的アミノ酸がカテプシン-Lに相同性を示し、ヒト-IgGを切断し、そして抗体依存性マクロファージの喰食能を抑制することを以前に報告したところである。今回は、それに関連してマクロファージの主要な機能の一つである一酸化窒素(NO)合成能に及ぼす虫体の産生物の作用を観察した。マウス腹腔マクロファージのNO合成酵素mRNAの発現をRT-PCRおよびノーザン・ブロット法で観察したところ、擬充尾虫の培養上清はNO合成酵素mRNAの発現を抑制し、NO産生を低下させた。よって、現在このNO合成酵素抑制に作用する物質の精製を行っている。さらに、この培養上清は、白血病細胞株であるM1細胞株およびWIHI-3D株のマクロファージへの分化を誘導するという興味ある所見が見出された。このことにつても今後GH様物質との関連性について検討する予定である。一方、この擬充尾虫の抗体切断能について実験において、虫体抽出液は、ビオチン化-27kDa抗体を細断し、その切断能は、システイン蛋白分解酵素抑制剤であるLeupeptin,E64で抑制された。そして^<125>I-27KDa抗体と虫体とを培養すると、放射活性が虫体内に認められた。即ち、この擬充尾虫は、自ら産生する27kDa蛋白に対して産生される宿主の抗体を細断し、摂取するという巧妙な宿主-寄生体関係が示唆された。 一方、27kDa蛋白のcDNAのクローニング実験に関しては、未だ擬充尾虫からのmRNAの抽出に成功していない。即ち、虫体をグアニジン存在下でポリトロン破砕、液体窒素中での破砕後AGPC法による抽出、Oligotex dT30(宝酒造)を使用してのmRNAの精製、RNA Extraction Kit(Pharmacia)による超遠心法、Isogen(日本ジーン)による抽出、また細胞質からのRNAの回収を試みRT-PCRを行ったがPCR産物を得ることはできなかった。
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