研究課題/領域番号 |
06454200
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
姫野 國祐 徳島大学, 医学部, 教授 (50112339)
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研究分担者 |
酒井 徹 徳島大学, 医学部, 助手 (40274196)
久枝 一 徳島大学, 医学部, 助手 (50243689)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 熱ショック蛋白質 / 原虫感染免疫 / トキソプラズマ / リーシュマニア / 病原性 / γδT細胞 / 防御免疫 |
研究概要 |
マウストキソプラズマ感染において、宿主マクロファージにおけるHSP65の発現が感染抵抗性と密接に相関することを報告している。この発現にはT細胞、特にγδT細胞が重要なことも明らかにしている。さらにこの細胞群がインターフェロンγ、腫瘍壊死因子のマクロファージを活性化するサイトカインを産生していること、これらを中和する抗体を投与することでHSP65の発現が著しく抑制されたことも確認された。よってHSP65の発現にはγδT細胞のサイトカイン分泌を介した役割が必須であることが示された。HSP65の発現が抑制されているγδT細胞除去マウスでは、トキソプラズマ感染によるマクロファージのアポトーシスに対する感受性が高くなっていた。さらに試験管内の感染の系でもHSP65をあらかじめ誘導したマクロファージでは感染によるアポトーシスが抑制されたが、HSP65に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下では抑制効果は見られなかった。この知見は、HSP65が宿主細胞のアポトーシスを制御することを示唆している。 マウスリーシュマニア症においても、感染抵抗性のマウスでは感受性マウスに比べて強いHSP65の発現がみられ、HSPの発現と感染抵抗性に相関性がみられた。この場合も、発現にはT細胞が必要であったが、トキソプラズマ感染の場合とは異なり、αβT細胞、なかでもリーシュマニア感染に対するの主要なエフェクター細胞であるCD4^+T細胞が重要であった。以上のように、感染形態の異なる各原虫で、HSPの発現と抵抗性には何らかの相関があることが認められた。発現様式は異なるようで、トキソプラズマ感染ではγδT細胞、リーシュマニア感染ではCD4^+αβT細胞と、いずれも感染抵抗性を決定する細胞群が必要であることが明らかとなり、この蛋白質が宿主防御の根幹をなす重要なものであることが示唆された。
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