研究課題/領域番号 |
06454201
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
奥沢 英一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20177166)
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
田辺 将信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
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キーワード | E. histolytica / E. dispar / 病原性 / HIV |
研究概要 |
1、Entamoeba histolyticaとEntamoeba disparの比較研究 今年度の研究によってEntamoeba dispar 12株の無菌培養化に成功した。12株の内訳は6株がヒト由来、残りがフィリピン産のカニクイザル由来のものであった。培養は新しく工夫したBCSI-S (Biosate Cystein Starch Iron-Serum)培地を使用し、H_2O_2(1%)で処理して殺虫したCrithidia fasciculata、ReFl-RPRを加えて成功した。よってE. histolyticaとE. disparが別種であることは確定した。Isoenzymeのパターン、E.histolytica特異的なモノクローナル抗体、Polymerase chain reactionによってもE. dispar特異的な性質が保持されていることも明らかになった。今年度の最大の問題はCrithidiaからの増殖促進因子の分離精製であったが、まだ成功していない。細胞膜分画でも部分的にしか再現できない。 E. dispar 12株は現在まで数十代にわたって継代維持されているが、何れの株のzymodemeもZ-Iに収束してしまい、基本的にE. disparは遺伝的に均一なものと思われた。電顕的にもオルガネラとグリコーゲン顆粒の配置状況が両者間で全く異なっており、超微形態的にも明瞭な区別が可能であった。 これらのE. disparをハムスター、スナネズミの肝に直接注射してみたが肉眼的に肝膿瘍の形成は認められなかった。 2、HIV感染者でのアメーバの病態的意義 わが国のHIV感染者の病歴、CD4数、病態等とアメーバの血清反応の結果や臨床症状との対比を試みた。その結果、HIV感染者におけるE. histolytica感染者は欧米に異なり、確かに存在すること、およびE. dispar感染者は血清反応陰性でありアメーバ症に一致する何らの臨床症状をも示さないことが分かった。ただしHIV陽性で、E. disparにも感染している症例はまだ多数見いだされておらず、今後も検討を必要とするものと思われた。
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