ビデオトラッキング装置を用いて、細菌の運動を画像上に軌跡として記録する基本的手技を確立した。その方法の概要は次のごとくである。液体培地で培養した対数増殖期の細菌を使用する。菌は培地の影響を避けるため遠心で集め、リン酸緩衝液に再浮遊する。菌の量は、顕微鏡で観察した際に一視野に1-2個の菌が見られる程度まで希釈する。きれいに洗浄した新しいスライドグラスに菌液を1滴乗せ、カバーグラスで覆う。菌液の層の深さをできるだけ浅くするため、指でカバーグラスを軽く押さえ、周りを指の爪に塗るマニキュア液で封じてしまう。この状態で暗視野顕微鏡で対物レンズ10-40倍、接眼レンズ10倍で観察し、運動性の菌を探す。菌液の希釈が適当であれば、一視野に1-2個の菌が見えるようになる。菌がこれ以上に多いと運動性のトラックが交差して以後の解析が困難となる。適当な視野が見つかれば、ビデオトラッキング装置を作動させて運動の軌跡をビデオテープに記録する。解析には、テープを再生させ、必要な視野をプリンターに出力する。運動速度は、プリントしたトラックから測定した時間を勘案して計算で算出する以上の方法で算出した幾つかの細菌の運動速度は、次の通りであった。コレラ菌、70μm/sec、緑膿菌70μm/sec、サルモレラ45μm/sec
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