細菌の運動性は、細菌の腸管への定着にとって重要な機能を果たしている。その機能は、走化性運動に裏打ちされていることも明らかになっている。同じ運動性であっても単毛の細菌と周毛の細菌とでは運動性にどのような違いがあるのか、同じ単毛の菌でもビブリオ、カンピロバクターと緑膿菌とでは運動性にどのような違いがあるのかなど、細菌の運動の詳細な解析をビデオトラッキング法を用いて行った。その結果、運動速度はビブリオが最も早く、次いで緑膿菌、カンピロバク-であった。ビブリオは秒速約64umで泳ぐことができる。一つの菌の運動性は菌種により様々で、特に緑膿菌、ビブリオとカンピロバクターとでは著しい違いが見られた。この研究により、ビデオトラッキング法で細菌を観察分析するのに必要な技術を身につけることができた。また、数種類の細菌の基本的な運動のパターンを知ることができ、今後の粘液中での運動パターンの変化の追跡、抗体処理により運動性の変化を追跡するための基本的なデーターを収集することができた。
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