Fv-1遺伝子による増殖抑制下でBトロピックMLVを培養した場合、B→NBの変化は観察されており、突然変異によることがわかっている。今回新たにB→Nへの変化が起こり得ること、その変化が内在性ウイルスとの組み換えによるものであることを明らかにした。 大腸菌由来のsupF遺伝子をLTR内にマーカーとして持つ組み換えBトロピックMLV(B-MoF)をFv-1^<b/b>のYH-7細胞にトランスフェクションして得たウイルスを種ウイルスとした。これをYH-7細胞に感染すると、4週間でNトロピックMLVが出現した。このNトロピックMLVのトロピズム決定部位はB-MoFと6塩基中4塩基が異なっており、突然変異によるものとは考えにくい。一方YH-7細胞のゲノム中にも全く同一のNトロピックの配列が確認されたことから、Nトロピズムは内在性ウイルス由来のものと考えられる。このことを明らかにするために、今回得られたNトロピックMLVのNIH3T3細胞での一晩培養上清から複製中間体を抽出しサザンハイブリダイゼーション法を行ったところ、同一分子上にsupF遺伝子とNトロピックの配列の両方を持つことがわかった。すなわち、外来のB-MoFと、YH-7細胞内在性ウイルスとの間で、組み換えが起こっていることが示唆された。
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