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1994 年度 実績報告書

SCIDマウスによるATL腫瘍細胞の癌化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 06454210
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小柳 義夫  東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (80215417)

研究分担者 田中 勇悦  北里大学, 理学部, 助教授 (30163588)
キーワードSCIDマウス / ATL / HTLV-I / Tリンパ腫
研究概要

ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)は成人T細胞白血病(ATL)患者より分離された発癌性レトロウイルスである。しかし、このウイルスの発癌機構は未だ解明されていない。その大きな理由として、試験管内でのHTLV-I感染によるトランスフォーム細胞と実際のATL患者の生体内で腫瘍として増殖する細胞とは大きく異なるためにATL腫瘍細胞の詳細な解析ができなかったからである。我々は重篤な免疫不全マウスであるSCIDマウスを用いてATL患者より分離した腫瘍細胞を継代する感染系を進めた。現在まで、25例のATL末梢血リンパ球をマウス腹腔内に摂取し、4例の症例において患者個体内の腫瘍細胞と同じ細胞群がこのマウスの腹腔内ならびに腸間膜リンパ節、肝臓、脾臓、腎臓等において増殖し、Tリンパ腫を形成するのに成功している。この腫瘍細胞は表面抗原さらに、ウイルス遺伝子の解析さらに病理学的解析から患者個体内で増殖していたATL腫瘍細胞であることが確認された。
さらにこれらATL腫瘍細胞に感染しているHTLVの遺伝子構造はpX遺伝子は保持しているが他の領域が欠損したdefective virusであった。ウイルス抗原の発現を蛍光抗体法あるいはRT-PCR法にて確認を試みたが、陰性の結果が得られ、ウイルス抗原の持続的発現による腫瘍化機構は考えにくいことが判明した。SCIDマウスに形成された腫瘍細胞を3世代以上にわたり別の個体のマウスへ増殖する実験には成功しておらず、ATL腫瘍補助因子の解析は進んでいない。さらに、症例数を増やすために未治療のATL患者リンパ節より、ATL腫瘍細胞のSCIDマウスでの増殖を7例以上、新たに試みたが、その後、成功しておらず、この方法の技術的問題点が露見してきた。今後、ATL腫瘍形成の確実な手技をまず確立すべきであると考える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Koyanagi Y: "In vivo infection of human T-cell virus type I in non-T cells." Virology. 196. 25-33 (1993)

  • [文献書誌] Koyanagi Y: "Dual infection of HIV-1 and HTLV-I in South India : A study on a patient with AIDS-related complex." Microbiol Immunol. 37. 983-986 (1993)

  • [文献書誌] Kira J,Koyanagi Y: "Sequence heterogeneity of HTLV-1 proviral DNA in the central nervous system tissue of patients with HTLV-1-associated myelopathy : Presence of pX-defective mutants" Ann Neurol. 36. 149-156 (1994)

  • [文献書誌] Yamashita A,Yamamoto N: "Cell type-specific heterogeneity of the HIV-1 V3 loop in infected indicifuals : Selection of virus in macrophages and plasma." Virology. 204. 170-179 (1994)

  • [文献書誌] Tanaka Y: "Induction of antibody responses that neutralize human T-cell leukemia virus type-1 (HTLV-1) infection in vitro and in vivo by peptide immunization : Epitope vaccine against HTLV-1" J Virol. 68. 6323-6331 (1994)

  • [文献書誌] Horiuchi S: "Soluble interleukin-6 receptors released from T cell or granulocyte/macrophage cell lines and human peripheral blood mononuclear cells are genetated through alternative splicing mechanism." Eur J Immunol. 24. 1945-4948 (1994)

  • [文献書誌] 小柳 義夫: "臨床分子生物学" 日本臨床, 763-766 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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