研究概要 |
1.ZEBRAのmAbの作成:ZEBRA発現E.coli(Trp-E ZEBRA)をG.Miller(エール大)より、更にGST-ZEBRA発現E.coliをE.Flemington(ハーバード大)より分与受け、ZEBRAの産生及び精製が可能になった。E.coli発現Trp-E fusion ZEBRA(unspliced,71Kd)をBalb/cマウスに免疫し、ハイブリドーマを得た。抗ZEBRA活性をELISA法、Western Blotting法、間接蛍光抗体法で、スクリーニングし、ZEBRAを認識するmAb,6B10(IgG_1,λ)を得た。6B10 mAbはTrp-E ZEBRA,GST-ZEBRA,Akata,P3HR-1,P3HR-1 ウイルス重感染Raji細胞でのZEBRAを認識した。この成功により、ZEBRAの免疫生化学的実験が可能になった。 ZEBRA分子の多様性の解析:6B10 mAbを用いて、種々のEBVトランスフォームB細胞に発現されるZEBRAの分子をWestern blotting法で調べZEBRA分子の多様性を解析した。EBVトランスフォーム細胞株によって発現されるZEBRAの分子量の違いが明らかになった。 Akata、B95-8細胞のZEBRAは39Kd及び36.5Kdで、P3HR-1では38Kdと37Kdの分子量を異にする2分子のZEBRAが検出された。P3HR-1細胞では37Kd及び36KdのZEBRAが認められた。これがG.Millerの言うhet ZEBRA及びstandard ZEBRAと一致した。P3HR-1 EBV(het及びstandardを含む)をRaji細胞へ感染させたところ、standard ZEBRA分子が強く発現され、それに加え弱いhet ZEBRAの発現も見られた。またB95-8 EBV,及びAkata EBVを用いて、同一成人末梢リンパ球をトランスフォームした細胞では、それぞれのウイルスBZLF1遺伝子によるZEBRA分子量の発現が見られた。 3.ZEBRAのリン酸化:ZEBRAのアミノ酸配列から、ZEBRA 245分子内にカゼインキナーゼII(CK II)及びプロテインキナーゼによるリン酸化領域の存在が確かめられた。特に核内CKIIによるリン酸化はZEBRAのDNA結合及び転写活性化領域に存在し、その機能発現に重要と思われる。
|