(1)Mouse mammary tumor virus由来の可溶性スーパー抗原の作製:ヒト免疫グロブリンIgG1の定常領域遺伝子とMtv-7スーパー抗原遺伝子(細胞外部分をencodeする部分)とを連結し、pBOS vectorに挿入した。これをマウスB細胞腫瘍にトランスフェクションして、その上清中にスーパー抗原活性を検索中である。 (2)SWRマウスのコラーゲンによる関節炎はヒト自己免疫疾患である慢性関節リウマチのモデルとなっている。福井医大で維持しているこの系統のマウスの一部に自然発症慢性関節炎がおこることが分った。これらから高率に関節炎が発病する亜系統を作製中である。これは将来作製されるであろう可溶性スーパー抗原による自己免疫疾患の治療法の開発に重要な役割をなすと予想される。 (3)野性由来マウスとNOD-V_β^aとの間でbackcrossマウスを200匹作製し、そのV_β4^+をV_β8.2^+T細胞のレベルを検索した。その結果この野性由来マウスはV_β4^+とV_β8.2^+に特異的内因性スーパー抗原をそれぞれ3個と4個もつことが分かった。このうち各1個は弱いスーパー抗原である(partial deletion)と考えられる。しかし、これはpartial deletionでなく他のスーパー抗原による代償的増加とも解釈できる。これらのスーパー抗原をencodeとする内因性mouse mammary tumor virusとそのsequenceを同定中である。 (4)Mtv-44の遺伝子座の決定:78匹{(NZW×CZ)F_1×CZ}backcrossマウスを用いてmicro-satelliteteのpolymorphismから第11染色体のcentromere領域にMtv-44が位置する事が分った。Micro-satelliteの一つのCllMit16とのrecombinationは見つからなかった。 (5)マウスV_β20_aに対するモノクローナル抗体の樹立:この抗体を用いV_β20_a^+T細胞のレベルを免疫遺伝学的に検索した。現在まで、このV_β20_aに特異的なスーパー抗体は見つかっていない。しかし、V_β20_a^+CO4^+T細胞はMHCクラスIIE分子によりpositive selectionされることが分った。
|