平成6年度は、DNCBを試験物質としてハプテンによる感作マウスのリンパ球のin vitroサイトカイン産生、主にRT-PCRによる感作段階と誘発段階の皮膚サイトカインmRNA解析を用いてその皮膚感作性を評価した。まず、我々は、マウスの腹部に2.5%DNCBを塗布し、感作後の6日目に同マウスの耳介への1%DNCB塗布により接触アレルギー皮膚炎を誘発した。皮膚炎群と対照群のマウスの脾臓および皮膚からRNAを抽出し、RT-PCR法を用いてIL-2、IL-4、IL-10、IL-12とIFN-γのmRNAを解析した。その結果、脾臓ではIL-2、IL-4とIL-10のmRNA発現は皮膚炎群と対照群との間で差がなかったのに対し、皮膚炎マウスのIFN-γとIL-12p40のmRNA発現は対照群より強かいことが認められた。また、皮膚ではIL-10mRNAの発現は両群間では差がなかったが、皮膚炎群のマウス皮膚におけるIL-12p35とIL-12p40のmRNAは対照マウスより強かった。この接触アレルギー皮膚炎マウスの皮膚における特徴的なサイトカイン産生としては、IL-2、IL-4とIFN-γのmRNA発現は、対照群マウスの皮膚ではこれらのサイトカインのmRNAは発現されなかったが、接触アレルギー皮膚炎のマウス皮膚ではこれら3種類のサイトカインmRNAは特異的に誘導された。つぎに、ハプテンによる感作マウスのリンパ球のin vitroサイトカイン産生については、DNCB(0.25、0.5、1.0ppm)の刺激により、in vitroでDNCB感作マウスのリンパ球のIL-2産生が量依存的に誘導された。また、in vitroのIL-2産生におけるDNCBとDNBSとの交差反応も認められた。さらに、感作段階のサイトカイン産生に関しては、1%DNCBおよび2.5%DNCBによる感作マウスの皮膚ではその皮膚のIL-12mRNAの発現は特異的に増強された。
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