研究課題
1.従来の研究成果として産業現場で実施可能な人間工学対策として取り上げられてきた諸項目を整理して、人間工学的職務負担評価に直接結びつく要因を抽出した。主要因として、運搬と移動、職場レイアウト、ワークステーション操作、情報表示、安全性、作業編成と休養衛星施設が重要であると認められた。これらの主要因別に職務負担評価に当たって取り上げるべき対策内容について検討した。2.これらの主要因と生理的心理的負担、自覚的負担評価との関連を最近の実験およびフィールド調査の結果に基づいて検討し、生理的心理的負担評価、自覚的評定、実施可能な改善対策チェックを同時におこなう職務負担評価システムを構成した。作業行動の経過を追って生理的心理的負担上の問題状況を抽出するのに適した負担監察モニター連続記録装置を開発した。記録項目として、行動監察によるタイム・スタディと連動できる行動記録、心拍数、筋電図、上体姿勢などを取り上げて、実用性を検討した。この連続記録と合わせて質問紙法への繰り返し応答から心理的負担等の進行状況を知る方式について検討した。とくに、負担影響を直接反映でき、人間工学的対策に関連の深い自覚的訴えで、時間経過に応じて変化しやすい負担項目を中心に検討を行った。4.代表的な機器操作場面およびヒューマンケア作業における生理的心理的負担軽減策として、どういう現場改善が行われているかを調査し、作業態様の観察から実施可能な改善策を洗い出せるチェックリスト試案を作成した。このチェックリストを連続記録および質問紙の解析結果と組み合わせて応用するさいの問題点について検討した。5.以上の検討結果に基づき、負担状況の連続記録、負担の自覚的評定、改善対策チェックリストからなる職務負担評価システムを汎用性の高いパッケージとしてまとめた。平成7年度にこの評価システムの現場応用を行う準備をすすめた。