研究概要 |
1)ミネソタ大学との共同研究により、米国白人150人、日本人150人についての比較を行ったところ、血清総コレステロール、LDL-コレステロール、中性脂肪、BMIは米国白人が、HDL-コレステロールは日本人が高値を示した。本研究では遺伝要因として、検出されたDNA多型はApoB遺伝子のEcoRIDNA多型のR2対立遺伝子であり、この遺伝子の存在は血清総コレステロール値を18mg/dl低くする方向に働くことが判明した。しかし、日本人ではR2対立遺伝子を持たない人の割合が米国白人よりも高く、日米間の血清総コレステロール値の差は、環境要因、とくに飽和脂肪酸、コレステロールの摂取量の差に起因すると考えられる。 2)農村及び都市近郊との集団の40〜69才男女12,338人についての平均して年間の追跡調査より血清総コレステロール値と脳梗塞、虚血性心疾患発生の関連を検討したところ、虚血性心疾患との間には正の相関が認められたが、脳梗塞では有意の関連は認められなっかた。また、40〜59才の男子8,475人を平均9年間追跡した都市事業所勤務者の成績では、脳梗塞、虚血性心疾患のいずれも正の関連を示した。 3)農村、都市の4集団の40〜79才男女10,230人を平均2.5年間追跡して血漿フィブリノーゲン値と脳卒中、虚血性心疾患発生との関連を検討したところ、血漿フィブルノーゲンが高いほど脳梗塞の発生率は高率であった。出血性脳卒中、虚血性心疾患も同様の傾向であった。血漿フィブリノーゲン値14mg/dlの上昇が脳梗塞のリスクを2.6%、虚血性心疾患のリスクを1.6%上昇させることになる。
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