「目的」新潟市と長岡市において、急性心筋梗塞と突然死の新発生例を出来るだけ悉皆的に登録するシステムを構築することにより、両疾患の発生率、死亡率を求め、併せて両疾患の発症要因を知ることにある。「方法」15-65歳の両市内の在住者から急性心筋梗塞と突然死が発生する度に、医療機関から発生通知を受け、病院に赴きカルテ調査を行った。一方、死亡症例の登録状況を確認するため、両市の全ての死亡小票を閲覧して対比した。発症要因に関する調査の同意の得られた症例本人または家族に対して、日常生活等に関する聞き取り調査を電話で行った。発症要因を探るための対照群として新潟市内の某ドック受診者544名を設定し、症例群と同様の方法で聞き取り調査を行った。「結果と考察」1年間で登録された急性心筋梗塞は70例(生存67例、死亡3例)、突然死は83例であった。死亡小票からあがった症例数は各々3例と154例であった。登録された突然死中の急性心筋梗塞者割合(7.5%)から、死亡小票上の突然死に占める急性心筋梗塞数を推定し、その年間推定発生率を求めた結果、人工10万人当たり17.1人(45-65歳に限ると39.5人であった。既往歴を両症例群で対照群と比較した結果、突然死群では循環器系疾患が、急性心筋梗塞では冠危険因子が高率であった。両群とも発症前1週間以内の自律神経症状(発汗異常、熱感・冷感など)が高率であった。突然死群は急性心筋梗塞群に比べて日常生活の仕事労作が大きく、死亡前1週間の睡眠時間の減少者が高率であった。短期的ストレスを訴えた率は急性心筋梗塞でのみ対照群との間に有意差が認められた。
|