研究概要 |
インスリン自己免疫症候群のインスリン自己抗体(IAA)に対するヒトインスリンエピトープ (B細胞をエピトープとT細胞レセプターに対するヒトインスリンエピトープ(T細胞エピトープ))の解析 自己免疫機序で発症するインスリン自己免疫症候群(IAS)はこれまでの我々の一連の研究により以下のことがわかった。 1)IASはポリクローナルIAA産生群とモノクローナルIAA産生群に分類できる。 2)この2群のIAA産生機序は少なくともHLA遺伝子拘束性が異なる。 3)DRBI鎖74番アミノ酸はポリクローナルIAA群はグルタミン酸、モノクローナルIAA群はアラニンである。 4)3)のアミノ酸の相違がインスリンのT細胞への抗原提示の効率を悪化させる可能性が高い。 5)IAAをコードする免疫グロブリン遺伝子のレパトアにポリクローナルIAA群とモノクローナルIAA産生群に相違ある可能性も考えられる。 そこでHLA-DRB1^*0406に結合するペプチドはヒトインスリン分子のどこかに(T細胞エピトープ)IAA抗体に対するヒトインスリンエピトープはどこか(B細胞エピトープ)を検討した。 DRB1^*0406、DRB1^*0405,DRB1^*0404,DRB2^*0403リンパ球およびそれぞれの抽出したDR分子を用いて結合状態を調べたところS-S結合解離後のα鎖後半とβ鎖後半の部位が特異的に結合することがわかった。またこの部分のペプチドはT細胞増殖もおこした。B細胞エピトープは全く同じ部位ではないがやはりS-S結合の解離したペプチドであった。 以上よりS-S結合が解離することがT細胞エピトープにもB細胞エピトープにも必須であることがわかった。
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