研究概要 |
本研究では,単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)のα(早期)遺伝子群のpre-mRNA4/5(IE pre-mRNA4/5)をダ-ゲットとしたアンチセンスDNAを合成し,in vitroの系にて塩基配列特異性に関する検討,細胞膜透過性,細胞内ターゲッティング効果に関する検討,DDSの応用による効果増強の検討を行った。さらに,In vivoの系にて抗ヘルペス効果の検討を行った。また、塩基配列非特異的な生物活性も無視することができず、抗HIV効果に及ぼす影響についても検討を行なった。また、細胞の種類を変えて、細胞内動態について検討した。 本研究から、明らかになったことは、1)3種類のアナログを検討したところ、フォスフォロチオエ-ト型が一番強かった。この効果は細胞内移行量とも並行していた。2)ウイルス感染細胞では、細胞内分布が異なり、ウイルス感染そのものが、アンチセンスDNAのデリバリー効果を高めていることが示唆された。3)HSV-IのIE pre-mRNA4/5をターゲットとした時に、強い抗ヘルペス効果がスプライシング部位に現局して認められた。この生物活性は上流および下流に離れる程減弱した。4)塩基配列特異性に関しては、最近接塩基対パラメーター計算の結果、スプライシングのある特定の構造をアンチセンス分子が崩すことにより抗ヘルペス効果が認められる可能性が示唆された。5)5'末端をゲラニオール修飾することにより、4倍近い活性の増強が認められた。この時、アンチセンスDNAは細胞質全体に分布していた。6)細胞分布に及ぼす影響を検討したところ、カチオン性リポソームにより、細胞内分布が変化した。7)塩基配列非特異的反応も認められ、HIVに対しても効果が認められた。その反応は連続したG配列に認められた。8)invivoのウサギヘルペス角膜炎に対して、ウイスル生着阻止効果が認められた。
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