研究概要 |
1.モチライドのヒトにおける生物活性の検定は許可されていないので,意識下のイヌを用いた. EM523は空腹期のみならず,食後においても胃に強力な収縮運動を引き起こした. EM523の食後の胃運動刺激作用は壁内のセロトニン3受容体を介し,コリン作動性神経を介する事が判明した. EM523はコリン作動性神経を介さないでサブスタンスP神経を介して胃の収縮運動亢進させる新しい経路が明らかになった. 2. EM523はコリン作動性迷走神経を介して膵島ホルモンの分泌を刺激する事が新たに判明した. 3. EM574及びモチリンはヒト胃平滑筋の単離細胞を用量依存性に収縮した. EM574及びモチリンはヒト胃平滑筋条片を用量依存性に収縮させたが,この反応はテトロドトキシン抵抗性であり,平滑筋のモチリン受容体に直接作用する. 4.ラジオレセプターアッセイにより,ヒト胃平滑筋にはモチリン受容体の存在が証明され, EM574は用量依存性にモチリンの結合を抑制した. 5.オートラジオグラフィーではヒト胃前庭部の平滑筋層にのみモチリンの特異的結合が証明され,それはEM574で用量依存性の置換された. 6.ヒト胃平滑筋の細胞膜分画分への125I標識モチリンの結合はきわめて低いので,平滑筋ホモジェネートを用い125I標識モチリンを反応させた後,架橋,可溶化し, SDSゲル電気泳動・オートラジオグラフィーを行った所,モチリンで特異的に結合阻害される分子量の異なる3つのバンドを得られた.その後,ゲル濾過により単一のピークが得られたので,現在タンパクの精製を行っている.
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