研究概要 |
1)ヒトアシアロ糖蛋白受容体(h‐ASGPR)の全長をカバーする10merの合成ペプチドを作製し,抗h‐ASGPR抗体陽性の自己免疫性肝炎TypeI患者血清との反応性をELISA法により測定したところ,陽性反応は得られなかった. 2)合成ヌクレオチドをプライマーとしてPCR法を用いてヒト肝cDNAライブラリーよりh‐ASGPRのcDNAクローニングを行い,2種のh‐ASGPRcDNAクローンを得た.これらのクローンがコードするアミノ酸配列は既報のものと同一であった(h‐ASGPRH1およびL‐H2). 3)これら2種のcDNAクローンを用いてリコンビナント抗原を発現させることに成功した.発現システムとして,大腸菌,CHO‐K1細胞を用いた. 4)大腸菌由来のリコンビナント抗原をウサギに免疫し,h‐ASGPRH1あるいはL‐H2に特異的な抗h‐ASGPR抗体を得た. 5)ヒト肝より抽出精製したASGPRを用いたELISA法にて抗h‐ASGPR抗体が高力価であった血清を用いてリコンビナントASGPR抗原に対する反応性を検討したところ,陽性所見が認められた.今後,さらに症例数を増やして特異性の検討を行う予定である.またリコンビナント抗原を用いて,自己免疫性肝炎TypeI患者における抗h‐ASGPR抗体のB cell epitopeの解析とh‐ASGPR特異的なリンパ球クローンの樹立を試みる予定である.
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