研究課題/領域番号 |
06454269
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
谷川 久一 久留米大学, 医学部, 教授 (10080649)
|
研究分担者 |
坂本 雅晴 久留米大学, 医学部, 助手 (60248367)
権藤 和久 久留米大学, 医学部, 助手 (00186909)
島村 拓司 久留米大学, 医学部, 助手 (60197986)
上野 隆登 久留米大学, 医学部, 講師 (70176618)
|
キーワード | 肝硬変 / 伊東細胞 / 神経終末 / アクチン / ミオシン / サブスタンス-P / VIP / エンドセリン-I |
研究概要 |
肝硬変における肝類洞内血流の変化を理解するためヒト肝硬変組織を用いて以下の検討を行い、その結果を正常肝と比較し以下の知見を得た。 1)肝小葉内神経分布に関する検討-免疫組織化学による観察- 一次抗体に抗サブスタンスP抗体、抗VIP抗体、抗エンドセリン-I抗体、抗S-100抗体を用いたABC法による光顕的観察、同様の抗体を用いた酵素抗体間接法による電顕的観察を行った。その結果、光顕的観察にて抗サブスタンスP抗体、抗VIP抗体、抗エンドセリンI抗体、抗S-100抗体との反応産物の局在は肝硬変において正常肝と比べ乏しい傾向にあった。電顕的観察にて正常肝組織では抗サブスタンスP抗体、抗VIP抗体、抗エンドセリン-I抗体陽性の神経終末は伊東細胞近傍に多く存在し、さらに同様の抗体との反応産物が伊東細胞の細胞膜に一致して認められた。一方、肝硬変組織においてはこのような所見は乏しい傾向にあった。 2)肝小葉内神経分布に関する検討-通常電顕による観察- 通常電顕により肝小歯内を観察した。その結果、正常肝組織では、神経終末が伊東細胞の近傍にてしばしば観察された。一方、肝硬変組織では筋線維芽細胞様伊東細胞を多く認めたが伊東細胞近傍での神経終末の局在は乏しかった。 3)伊東細胞におけるアクチン、ミオシンの局在-免疫電顕による観察- 一次抗体に抗アクチン抗体、抗ミオシン抗体を用い酵素抗体間接法にて伊東細胞における局在を観察した。その結果、抗アクチン抗体、抗ミオシン抗体との反応産物は伊東細胞内に観察されたが肝硬変組織内の伊東細胞の方が正常肝組織内の伊東細胞に比べ、より局在が強い傾向にあった。 以上の結果から肝硬変組織では正常肝組織に比べて伊東細胞内のアクチン、ミオシンは豊富であるが、肝小葉内のサブスタンスP、VIP、エンドセリン陽性の神経終末は乏しい傾向にあると思われる。
|