研究課題/領域番号 |
06454270
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
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研究分担者 |
中村 敏一 大阪大学, 医学部, 教授 (00049397)
佐藤 研 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00215782)
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キーワード | HGF / 間質性肺炎 / ブレオマイシン / 肺傷害 / 肺線維化 / 肺胞上皮細胞 |
研究概要 |
Hepatocyte growth factor(HGF)は間葉系細胞で産生され、上皮系細胞に作用しその増殖、運動、形態形成を調節する多機能器官再生因子であり、肝・腎ではその組織再生作用が示された。肺における傷害時には、肺胞上皮細胞が脱落し基底膜が破壊され、正常肺機能に不都合な組織再構築を来すことが、臨床病態となる。従って、本病態では、上皮細胞脱落を防ぎ、その増殖促進により、正常肺構造を維持しつつ、傷害治癒する必要がある。本研究は、HGFによる肺傷害抑制効果を薬剤誘起性肺傷害動物モデルで検討した。 (方法)C57BL/6マウス(雌)8-10週令を使用。Bleomycin(BLM)は100mg/kg/mouseをosmotic pump (ALZA社2001)で1週間連続皮下投与をおこない、HGFはヒトリコンビナントHGF50μgをosmotic pump(ALZA社1007)で連続1週間腹腔内投与を行った。HGF、BLM同時投与群(HGF群)と、BLM単独投与群をおいた。両群間で薬剤誘起性肺傷害程度を病理組織学的に検討し、Ashcroftスコアと、ポイントカウンティング法を用いてその差を定量比較した。肺ハイドロキシプロリン量により繊維化程度を検討した。 (結果)病理組織学的検索において、対照群ではBLM投与後2-4週においてマクロファージを主とする滲出性変化と、胸膜直下の線維化病巣を認めた。HGF群では対照群に比し、投与後2-4週にて滲出性変化・胸膜直下線維化病巣形成共に著明な抑制を認め、定量化検討でも、投与後2・4週ともにHGF群が対照群に比し線維化の程度が低く、4週で有意差(ANOVA)を認めた。ハイドロキシプロリン量もHGF群が対照群に比し低値を示した。これらの結果は、HGFが肺においても組織傷害抑制効果を持ち、肺組織の維持・上皮再生に関与する事を示唆するものである。
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