研究概要 |
薬剤性肺障害を惹起するため、マウスにBLM (100mg/kg)を7日間を持続皮下投与を行った。HGF総量50μg/マウスを7日間持続腹腔内投与する少量投与法と総量280μg/マウスのHGFを14日間で腹腔内投与する多量投与法をおこなった。 i) HGF少量投与法では、病理組織学的検討、アシクロフトのスコアーによる線維化の定量化を行い、BLMによる肺線維化がHGF投与によって抑制されることが示された。ポイントカウンテイング法による線維化の分布に基づく解析では、血管周囲領域及び全領域総合において有意差を認めた。Hydroxyproline量の解析では、HGF投与はコラーゲン量の増加を抑制し線維化の抑制をする事を示唆した。 ii) HGF多量投与法では、BLMと同時にHGFを投与開始する群すなわち同時投与群と、BLM投与後にHGFを投与する群すなわち後投与群に分けた。病理組織所見では同時投与、後投与群とも線維化は抑制され、HGFの後投与においても同時投与と同程度の線維化の抑制が認めらた。アシクロフトのスコアでは、同時投与、後投与群ともにBLM単独投与群に比べ有意に低値を示し。 iii)臓器内HGF濃度測定は、マウスにBLM投与したマウスを3群に分け、第1群にはHGFを333μg/マウス/7daysで、第2群にはHGFを50μg/マウス/7daysで持続腹腔内投与を行い、第3群はBLM投与のみ行い、投与開始3日後に屠殺した。肺、肝、腎におけるHGF組織内濃度は第1、2群においてはそれぞれ1.96±0.04, 47.24±14.27, 12.10±0.71ng/g・tissue、0.63±0.27, 5.94±2.37, 1.62±0.18ng/g・tissueであり第3群においては検出されなかった。 iv) HGFは肺障害抑制作用を持ち、後投与でも肺傷害に対して同時投与の抑制作用を持つことが示された。
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