研究課題/領域番号 |
06454272
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉村 一彦 信州大学, 医学部, 助教授 (70174985)
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研究分担者 |
佐野 健司 信州大学, 講師 (50205994)
高 昌星 信州大学, 講師 (80143981)
小林 俊夫 信州大学, 講師 (80020775)
本間 達二 信州大学, 教授 (90020875)
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キーワード | 肺微小血管透過性 / 水分濾過保数 / 摘出灌流肺 / サイトカイン / インターロイキン-1β / 一酸化窒素 / プロスタグランデイン |
研究概要 |
家兎摘出灌流肺標本を用いた研究では、IL‐1βが灌流液中の白血球成分なしに肺水分濾過係数および肺湿乾重量比を著しく上昇させることより、IL‐1βは直接肺微小血管透過性亢進型肺水腫を起こすと考えられる。また灌流液中のprostaglandin(PG)E_2濃度はIL‐1β投与によって著明に上昇し、インドメサシンの前投与によりIL‐1βによるPGE_2濃度の上昇は完全に抑制された。また、この微小血管透過性亢進はインドメサシンおよびN^ω‐nitro‐L‐arginineの前投与によって抑制された。 以上の結果より、IL‐1βにより肺微小血管透過性亢進の機序としてPGE_2をはじめとする内因性PGおよび一酸化窒素(NO)の関与が示唆された。しかし、タンパク合成阻害剤であるcycloheximideを前投与した群ではIL‐1βによる肺水腫を全く抑制できなかった。この結果はIL‐1βによる肺水腫がIL‐1β投与後の新たなタンパク合成あるいはサイトカインネットワークの関与が少ないことを示唆する所見と考えられる。尚、現在灌流液中の窒素酸化物(NOx)についてGreissらの方法によって測定中である。 摘出灌流肺モデルを用いた研究では、IL‐1βについてほぼ研究目標は達成できた。この研究においてはIL‐1βによる肺損傷にPGのみならずNOの関与が示唆された。今後は活性酸素などの関与についても検討し、さらに発展させていきたいと考えている。また培養・単層肺血管内皮細胞タンパク透過性モデルは確立でき、現在サイトカインの効果を検討中である。
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