研究課題/領域番号 |
06454274
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
壇原 高 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30102263)
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研究分担者 |
蓮沼 紀一 順天堂大学, 医学部, 講師 (10208473)
岡 正彦 順天堂大学, 医学部, 助手 (60203965)
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 医学部, 助手 (90206649)
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キーワード | NO合成酵素 / 遺伝子導入 / 肺高血圧症 / 肺動脈内皮細胞 / 肺動脈平滑筋細胞 / 気道上皮細胞 / RT-PCR / cGMP |
研究概要 |
血管内皮細胞から種々の血管収縮及び拡張物質が放出されていることが明らかになった。特に一酸化窒素(NO)は、L-arginineを基質としてnitricoxidesynthase(NOS)の存在下に内皮細胞で合成され、血管平滑筋細胞内のGuanylate cyclaseを活性化し、cGMPの上昇を介し血管平滑筋の弛緩反応を惹起することが明らかになってきた。これらは、主に体血管系での検討であるが、NOが体循環系のみならず肺循環系でも血管拡張因子として機能するとともに、肺動脈平滑筋細胞の増殖を抑制する因子としても作用していることが示唆されるようになった。 このような観点から肺血管抵抗の増大と肺動脈平滑筋層の肥厚を特徴とする肺高血圧症におけるNOの動態が注目され、NOの合成システムの破綻が肺高血圧症の進展を助長している可能性が推測される。本研究では、遺伝子工学的手法を用いてNOS遺伝子を肺動脈内皮や経気道的に気動上皮細胞へ導入することで恒常的に産生されるNOの肺血管床への作用の基礎的検討を行い、肺高血圧進展の抑制の可能性の検討へと発展させていくことを目的とする。平成6年度は、1.ヒト臍帯静脈内皮細胞より血管内皮細胞由来NO合成酵素(ENOS)cDNAのクローニングを行った。2.ENOS発現ベクター、大腸菌LacZ(β-galactosidase:β-gal)発現ベクターの作成:ENOScDNAと既存のLacZ遺伝子をまずアデノウイルス5型majorlatepromoterで発現するプラスミドベクターを作成したが、その発現の程度は低く、ENOSのシグナルは、RT-PCRでのみ確認されpromoterの転写効率が低いことが示唆された。更により強力なcytomegalovirus immediate early(CMV)promoterで発現するプラスミド[EOS発現ベクター(pCMVENOS)、LacZ発現ベクター(pCMVLacZ)]を作成した。3.in vitroで気道上皮細胞株、肺動脈内皮細胞と平滑筋細胞へpCMVENOSを用いてENOS遺伝子導入を行い、ENOS遺伝子発現が抗ヒトENOS抗体を使った免疫組織染色で確認された。平成7年度は、発現されたENOSの機能解析とin vivoENOS遺伝子導入を行う計画である.
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