研究概要 |
虚血性心疾患患者におけるChlamydia pneumoniaeの関与について検討を行った。まず、虚血性心疾患患者を対象にC.pneumoniae抗体の保有状況を調査した。1994年4月から1994年1月までの間、胸痛を主訴に来院し冠動脈造影を施行した患者のうち、冠動脈狹窄が50%以上ある狭窄群117例と冠動脈狹窄がないか心電図異常のないコントロール群70例の血清を対象とし、micro-immunofluorescence法でC.pneumoniae抗体価(IgG,IgA,IgM)を測定した。その結果、C.pneumoniae抗体保有率(32倍以上)は狭窄群で73%、コントロール群で43%であり、さらに64倍以上の中等度以上抗体価保有群で検討すると、狭窄群で49%、コントロール群で14%と狭窄群に有意に高い傾向を示していた(P value<0.001)。またlgA抗体価で16倍以上を示した場合は、狭窄群で25%、コントロール群で4%とlgGクラス同様狭窄群において高い傾向であった。なおlgMは全例陰性であった。 今回の検討成績では、抗原検出には成功しなかったが、冠動脈狭窄群ではコントロール群と比較し有意に血清抗体価が高い結果が得られており、虚血性心疾患のリスクファクターとして、C.pneumoniae感染も重要な因子の1つではないかと考えられた。
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