研究概要 |
Dystrophinは骨格筋・心筋で細胞膜直下に細胞骨格を形成する.そのカルボキシル末端で細胞膜の糖蛋白群,特に(1)α/β-dystroglycan, (2)adhalin, 35DAG, A3b, 25DAP, (3)syntrophin, AO,と結合する.一方,低分子量のDMD遺伝子産物であるDp71, Dp116は脳,末梢神経で発現し,更に筋,神経組織を含めほとんどの組織細胞でdystrophin homologueのutrophinが発現する.本研究は機能的複合体としてのdystrophin群-細胞膜糖蛋白群(DAPs)-細胞外接着分子の構造分析を目的としているが,本年度は主に末梢神経系における上記複合体を解析した. 結果1.末梢神経粗膜分画を出発材料にWGAならびにlamininアフィニティークロマトグラフィーでdystroglycan-laminin complexを抽出,その構成成分としてα/β-dystroglycanを同定した.またその裏打ち構造としてDp116とutrophinの可能性が高いことをつきとめた. 結果2.共焦点顕微鏡を用いた末梢神経の免疫細胞化学的分析によりα/β-dystroglycanがシュワン細胞膜に,Dp116とutrophinがシュワン細胞体に局在することをつきとめた. 結果3.神経内膜基底膜のlamininとの結合にはシュワン細胞α-dystroglycanの糖鎖構造が関与することをつきとめた. 今後,末梢神経dystroglycan-laminin complexの生物学的機能の解析,特に信号伝達系としての関与,また本複合体の中枢神経における発現,を解明して行く予定である.
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