研究概要 |
1.蛍光アクチンフィラメントの滑り実験系を用いてADP,PiなどのATP分解産物がアクチン・ミオシン間の相互作用に阻害的に作用することを示した。この結果心筋収縮蛋白は骨格筋に比べ虚血に対して適応していることが示唆された(Yamashita et al)。一方生体内ではATP再生系でミオシンの活性に最適の条件が保たれていると考えられた(Sata et al)。 2.トロポニン・トロポミオシン複合体からなる調節蛋白系とアクチンからカルシウム感受性をもった細いフィラメントを再構成し、インビトロにおける滑り運動にカルシウム制御を導入した。このカルシウム感受性はアシドーシス、低温などの条件で下がる(Desensitization)が心不全治療薬として期待されるカルシウムセンシタイザーはいかなる条件下でも感受性を上げるように作用した。また薬剤の作用は調節蛋白に対するものでアクチン・ミオシン相互作用への直接の影響はないものと考えられた。(Sata et al)。 3.ミオシン分子の張力発生能力を検討するため,遠心顕微鏡およびレーザー光トラップ装置という2つのインビトロ力測定系を用い,心筋ミオシンのアイソフォーム間(V1,V3)での力発生を比較した。この結果2つのアイソフォームは力発生時間などの動的な点では異なるものの平均的な力発生能力に差はないことがわかった(Sugiura et al)。
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