研究概要 |
アンジオテンシンH(AII)がAII受容体(AT_1)とどの部位で結合しているかを明らかにすることは、AT_1結合阻害剤の開発に重要な情報を与え、AT_1阻害剤は新しい血圧降下剤となる可能性を秘めている。平成6年度は、AT_1の次構造のコンピューター解析により、4ケ所のリガンド結合部位を推測し、変異リセプターのリガンド結合能の変化から、結合部位を明らかにし、更にG蛋白共役部位についても検討した。本年度の研究は、ほぼ予定どおり達成された。AT_1に対するAIIの結合に関しては、Arg^<167>,Asp^<263>,Lys^<199>の3ケ所が重要な役割を果たしていることが確認された。特にArg167Alaの変異体ではAII、EXP985(Losartan誘導体)の結合能はいずれも完全に消失した。この結果は、現在合成されている非ペプチド性拮抗剤のうち、EXP985(Losartan誘導体)に関しては結合部位もAIIの結合部位と一部を共有していることを示している。 細胞内情報伝達系の検討では、CHO-K1細胞を用いたStable Expressionの系も確立し、野生型、変異型とも発現していることがフローサイトメトリーを用いて確認された。G蛋白共役部位の検討では、第2細胞内ループN-端側のAsp^<125>,Arg^<126>,Tyr^<127>をGly,Alaに置換した変異リセプターで、GTP効果、IP_3産生能の低下を認めている(遠心乾燥器はIP_3の抽出に用いている)。現在細胞内カルシウムの変動を検討中であるが、恐らくAsp^<125>,Arg^<126>,Tyr^<127>トリアスはG-蛋白共役部位として重要と考えられる。
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