研究概要 |
1)標的遺伝子組み換え法にジストロフィン(dy)欠損マウス作成については持続的な試みにも関わらず現在までdy欠損モデルマウスを得るに至っていない。昨年末、日本とアメリカにおいて筋型dyターゲティングに成功したモデルマウスが報告されている。このことを受けて私たちのグループは脳型dyの標的遺伝子組み換えに焦点を絞ることになった。 2)レポーター遺伝子lacZを用いたトランスジェニックマウス作成によるdy発現・調節機構の解析に関する研究では筋型dyのプロモーター領域の解析を中心に検討を進め、マウス筋型dyのexon 1より上流900bpでは右心特異的にdy発現を制御していることを観察し報告した。(投稿中)またヒトdy遺伝子100bpにlacZを繋いだトランスジェニックマウスにおいてもほぼ同様の結果を得た。この結果は骨格筋、平滑筋、右および左心筋ではそれぞれ発現様式が異なることを示唆している。現在更にその上流3kb,10kbにlacZを繋ぎトランスジェニックマウスを作成しプロモーター領域にそれぞれの組織に対する発現制御部位が並んで存在することを確認する研究を進めている。更に脳のexon 1上流2.1kb部位にlacZを繋いだトランスジェニックマウスの検討を行い大脳皮質のニューロンに選択的に出現していることと海馬の神経細胞には発現しないことを観察し報告した。(投稿中)更に今年度はDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)の遺伝子治療に関する基礎的な検討を開始した。out of frameの欠失が見られるDMD患者においてRNAスプライシングをコントロールすることにより任意exonをスキップさせmRNAレベルでin frameとする、つまりDMDをBecker型(BMD)の臨床像に変えるというものである。現在exonスキッピングが確実に起こっていることを証明するための基礎的な実験系を線維芽細胞にMyoDを導入する方法及びミニジストロフィン遺伝子をを作り、in-vitroでスプライシング反応を行うシステム確立に向けて研究を進めている。
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