研究概要 |
神経成長因子(Nerve growth factor,以下 NGF)は神経冠由来の細胞分化・成熟と生存維持に関与している。またNGFの受容体は低親和性と高親和性(trk A)の2つの受容体が,ホモダイマーまたはヘテロダイマーを形成,NGFに応答して細胞内にシグナルを伝達することが最近判明した。 本研究では,NGF,それらの受容体とシグナル伝達経路が,神経芽腫(NB)の分化・成熟と自然退縮に果たす割合を検討,最終的には進行NBの予後改善を計ることを目的とした。 高親和性NGF受容体(trk A)発現を下記のNB細胞株とNB臨床腫瘍組織で検討した。 (1)in vitroで分化誘導したNB株 (2)予後良好と不良NB腫瘍組織 その結果ガンマ・インターフェロンで神経細胞に分化したNB細胞株で,trk A発現が誘導された(Jpn J Cancer Res 1994)。またNB臨床腫瘍組織では,予後良好(非進行)例の腫瘍細胞ではtrk A発現が見られたが,進行例の腫瘍組織ではtrk A発現は見られなかった。今後trk A発現の有無で何故予後が左右されるか,NGFのシグナル伝達経路を検討,その機序を解明したい。
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