研究課題/領域番号 |
06454317
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 邦彦 大阪大学, 医学部, 教授 (20110851)
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研究分担者 |
垣淵 正男 愛媛大学, 医学部, 助手
東山 真里 愛媛大学, 医学部, 助手 (40228713)
橋本 公二 愛媛大学, 医学部, 教授 (00110784)
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キーワード | 培養表皮シート / 移植 / 超低温フリーザ- / 表皮細胞 |
研究概要 |
1)採取皮膚および培養表皮シートの保存および輸送法の開発:培養表皮シート移植のシステム化のためには培養センターを設置し、培養表皮シートを供給する必要があるとの考えより、遠隔地で採取下皮膚片を送付するために採取より4日間冷蔵保存可能な保存液の検討を行った。この結果、L-15培地が最適であることが明らかになった。冷蔵条件した(4℃)での培養表皮シートの保存期間を検討したところ、ハンクス液中で、12時間程度は保存可能であるが、24時間は困難であった。従って、凍結培養表皮シートの凍結および輸送法の開発を検討した。培養表皮シートの冷凍保存の目的で種々の保存液を検討したところ、ポリエチレングリコール600を用いた保存液がもっとも有効であった。輸送のために使用するドライアイスの影響を検討したところ、72時間までは細胞接着率に影響を与えなかった。冷凍培養表皮シートの保存は超低温フリーザ-(-152℃)を用いると3カ月間は可能であった。なお、培養表皮細胞の凍結保存は、DMSOおよびウシ胎児血清を混合した培養液を用いることにより、液体窒素下では数十年は保存可能であるとの結果が得られた。 2)培養表皮シートの臨床評価:冷凍及び非冷凍培養表皮シートの効果を比較検討した。その結果、両者間では特に有意な差違はなく、臨床的には冷凍培養表皮シートで十分な効果が得られることが明らかなった。培養表皮シート移植を実施した症例は、下腿潰瘍、先天性表皮水疱症、熱傷、などで、原則として自家移植を実施した。。これらの疾患中、先天性表皮水疱症に対する効果がもっとも優れており、潰瘍の上皮化の期間の著明な短縮、機械的刺激に対する水疱形式の抵抗性などが確認された。再発性の下腿潰瘍では長期間冷凍保存した表皮細胞を用いることにより、細胞バンクとして培養表皮シート移植が可能であり、有用であった。
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